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OMURO IKEBANA

ギャラリー


仁和寺にある法師


第一回 『 杖言葉 』 御室流前華道理事 大西智城

第一回

『  杖 言 葉  』



 ボウフラが 人を刺すよな蚊になるまでは 泥水飲み飲み浮き沈み
 

 最近、講話の中でよく使う一節です。

 ご存知の方も多いとは思いますが、映画「座頭市」で勝新太郎と共演した森繁久弥が

 アドリブで作った都都逸と言われています。


 人間の美味しい血を吸えるようになるまでは、ボウフラでさえも泥水を飲みながら我慢と辛抱をしている、

 ましてや人間ともなれば、人一倍の努力や辛抱を重ねてこそ、人間としての生き方が見えてくる・・・、

 そんな事が言いたかったのかもしれません。



 日本人は大人も子どもも含め、総じて我慢をしなくなったように感じられます。実話でこんな話しがあります。

 就職氷河期と言われている現在、周りの親や教師がやっとの思いで世話をした就職先、

 しかし出勤初日のお昼前に職場放棄で帰宅。


 理由を聞くと「あの会社は僕に合わない」とか・・・、
2時間で会社の何が分るのか!

 辛抱の無さにただただ驚くばかりですが、これが現実なのかもしれません。


 
抱は「せ」の一歩手前と気付く事が大切です。

 人生は山登りのようなもの。

 重たい荷物を背負いながら痛い足を我慢して、上へ上へと登った人ほど、

 眼下に広がる広大な景色に感動する事を許されるのです。


 人間は生涯、成長を続けることができます。

 自分で限界を決めるのではなく、今が一番若いと、一歩でも二歩でも歩みを上に進めることが大切です。

 これが美味い血にありつく一番の近道なのです。